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カテゴリ:本( 129 )

時代の証言者

 長谷邦夫『あるマンガ家の自伝 桜三月散歩道』(水声社)は、
1937年生まれの著者の自叙伝であるとともに、貴重な「時代の証言」
でもある。

 東京大空襲、食糧難、キャサリン台風・・・・
 紙芝居、貸本マンガ、マンガ週刊誌、アニメ、マンガ講座・・・・
 日本におけるSFの歩み、ジャズの浸透、ピアニスト山下洋輔の軌跡、タモリの登場・・・
 
 これは、同書に記されている事項の一部だが、
さまざまな出来事・事項を盛り込みながら、
実に読みやすく興味深く記述できるのは、
長谷氏の文章力・構成力ならではのこと。

 ホンマ、これは傑作ですよ。


 長谷さんのブログ(http://d.hatena.ne.jp/nagatani)を
紹介しておきましょう。

 
 
 
 
by kase551 | 2012-01-05 23:42 | | Trackback | Comments(0)

長谷邦夫『桜三月散歩道』

長谷邦夫さんの新著『あるマンガ家の自伝 桜三月散歩道』(水声社)を
4分の1ほど読んでいる。
 
 期待にたがわず、読み応え十分。

 マンガ好き、井上陽水ファン、ジャズファン、タモリのファン、
そして詩を愛する人には、ぜひ読んでいただきたい力作だ。

 特にこれまで語られていなかった、長谷さんの幼少時代や学生時代のエピソードに、
「あぁ、そうか!」「う~んそうやったんか・・・」などと、感じ入る。


 このひとはホンマに、すばらしいセンスの持ち主やねぇ・・・
パロディマンガの傑作群を読み返して、あらためて感嘆・・・
by kase551 | 2012-01-04 22:46 | | Trackback | Comments(0)

クリスマス小説

 クリスマスに関する小説として、
私は次の三作を「ベスト3」として推薦する。

 同率1位で、三作の順位はつけがたい。

 ディケンズの「クリスマスキャロル」、Oヘンリーの「賢者の贈り物」、
そして星新一の「ある夜の物語」

 
by kase551 | 2011-12-24 23:59 | | Trackback | Comments(0)

太宰治「十二月八日」

12月8日。太平洋戦争開始の日。

  太宰治の「十二月八日」を再読する。

  この作品に登場する「主人」は、「西太平洋って、どの辺だね? サンフランシスコかね?」
 などと言いながら、「日本は、本当に大丈夫でしょうか」という妻からの問いに、
「大丈夫だから、やったんじゃないか。かならず勝ちます」と、答えている。

 その「かならず勝ちます」ということばは、妻によって、「よそゆきの言葉」と表現されている。
 そして妻は、「主人の言う事は、いつも嘘ばかりで、ちっともあてにならないけれど、
でも此のあらたまった言葉一つは、固く信じよう」と思う。

 「かならず勝ちます」という「よそゆきの言葉」、
「主人の言う事は、いつも嘘ばかりで、ちっともあてにならないけれど」
という表現に、私は作者(太宰)の皮肉な視点を感じる。

 そして、買い物に行った妻が、「こんなものにも、今月からは三円以上二割の税が附くという事、ちっとも知らなかった」 と思い、卒業と同時に入営する大学生たちに対して
「まあほんとに学生のお方も大変なのだ」などの感想を抱くことや、
新聞のページ数(「珍しく四ページだった」)、酒の配給(「隣組九軒で一升券六枚しか無い」)
などの描写からも、庶民の生活が圧迫され、若者たちが動員されていく様子がうかがえる。

  さらに、「銭湯へ行く時には、道も明るかったのに、帰る時には、もう真っ暗だった。
 燈火管制なのだ。もうこれは、演習でないのだ。心の異様に引きしまるのを覚える。
でも、これは少し暗すぎるのではあるまいか。こんな暗い道、今まで歩いた事がない」
という部分における、 
 「少し暗すぎるのではあるまいか。こんな暗い道、今まで歩いた事がない」という妻の思いは、
戦争の先行きを暗示しているようだ。

  そして、その不安な気持ちを抱いている妻に「主人」は、
 「お前たちには、信仰が無いから、こんな夜道にも難儀するのだ。
 僕には、信仰があるから、夜道もなお白昼の如しだね。ついて来い」と、
「どんどん先に立って」歩いて行く。
 
  このような「主人」の態度に、妻が「どこまで正気なのか」と
 呆れるところで小説は終わる。


  夏目漱石の「三四郎」における台詞を思い出した。

 「滅びるね」
by kase551 | 2011-12-08 23:59 | | Trackback | Comments(0)

危機一髪

 隣室の「書庫」から、ミシッミシッと異音が・・・

 なんやろ?と、本棚代わりにしている押入れに目をやると・・・

 本の重みに耐えかねて、押入れ上段の底板がきしんでいる。
 あわてて、本をざざっと下ろす。
 崩れて畳が見えなくなるが、緊急事態やからしゃーない。

 底板は湾曲しており、もうすこしあのままならば、
バキッ!と割れて、本の雪崩となっていただろう。

 危機一髪・・・ 
 
 
by kase551 | 2011-10-17 23:59 | | Trackback | Comments(0)

増田俊也『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』

  増田俊也『木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか』(新潮社)を一気に読む。
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 読了後に感嘆・・・

  これは労作、傑作です。

  木村政彦と力道山の「あの一戦」に関して、著者は木村サイドに立ちながらも、
 力道山を一方的に断罪していない。
  そして、木村の師であった牛島辰熊、一時期、木村と親交の深かった大山倍達、
 木村の愛弟子・岩釣兼生たちに関する記述も厚みがあり、教えられるところが多い。

  増田氏自身も実践した、寝技主体の「高専柔道」と木村政彦の関係にも、
 「そうか!」とひざを打つ。
  
  井上靖の『北の海』を再読したくなった。

 「DNA」などということばを不用意に使ってしまっている(113頁)
 のは残念だが、柔道などの格闘技、そしてプロレスに関心のある人には、
 ぜひ読んでいただきたい。

  最相葉月『星新一』(新潮社)http://kaseyan.exblog.jp/5877832
 以来の「おすすめ評伝」やね。
by kase551 | 2011-10-06 23:59 | | Trackback | Comments(0)

呉智英氏の著作

 評論家・呉智英氏の単行本の大部分を買って読んでいる。
 
 『インテリ大戦争』『バカにつける薬』『大衆食堂の人々』
『現代マンガの全体像』『封建主義 その論理と情熱』
『読書家の新技術』『サルの正義』『犬儒派だもの』
『言葉につける薬』『現代人の論語』『危険な思想家』
『言葉の常備薬』『健全な精神』などなど・・


 こんなデタラメを放置したらアカンやろ!と、
私が『「マンガ嫌韓流」のここがデタラメ』(コモンズ)という本を共同執筆するきっかけとなった『マンガ嫌韓流』を、
呉氏は『健全なる精神』(双葉社)において、「大筋では間違っていない」(184頁)と評価している。
 こういう点においては、私は呉智英氏の主張に「???」と思う。
 
 あの本が「大筋で間違って」いるから、私たちは『「マンガ嫌韓流」のここがデタラメ』を書いたのだ。
 「参政権」に関する私の執筆部分を読んだのか、『マンガ嫌韓流』の著者は「県レベルの乗っ取り」という初版の記述を「地域レベルの乗っ取り」などと変えたようだが、大筋での間違いは何も変わっていない。 



 しかし、他の著作における呉智英氏の、「『すべからく』誤用指摘」、「死刑廃止仇討ち復活論」などには私は賛同・同感し、『バカにつける薬』における「『ゴルゴ13』【汚れた金】批判」
などには、「あ~、ゆわはるとおり(共通語訳:おっしゃるとおり)!」と感嘆する。

 また、パギさん(趙博さん)が歌う「ヨイトマケの歌」を高く評価する感性にも、
「さすが」と思う。


 このように、私は呉智英氏の著作を、時には強く反発しながら、
時には共感しながら読んでいる。

  マンガ評論に関しては、唯一無二の存在やね。
 『現在マンガの全体像』は、歴史的名著。

 そして、『犬儒派だから』における水木しげるさんに関する記述は、
何十回読み返しても、飽きない。 
by kase551 | 2011-08-10 22:57 | | Trackback | Comments(0)

『紙の爆弾』と『噂の真相』

 『紙の爆弾』を読みながら、『噂の真相』を思い出した。

  私は1980年代半ばから、『噂の真相』を愛読していた。
  政界や皇室に関する「タブー」を恐れぬ姿勢に共感し、
 筒井康隆・ナンシー関・宅八郎・本多勝一・高橋春男など、
 超一流の描き手による連載を楽しんでいた。
  
  同誌に違和感をおぼえたのは、某俳優に関する事件に 
 からめて、「芸能界における『在日』」というテーマで、
 数名の芸能人の実名を挙げ、確認もせずに「在日推定」
 した記事を、目にしたときだ。

  そして、小林よしのり氏の秘書(当時)に関する記述の、
 下劣きわまる見出しを目にし、「あ~あ、しょーむな!」と失望した。


  かみつく相手が違うでしょ。
   
   
by kase551 | 2011-06-13 23:59 | | Trackback | Comments(0)

『おひさま』と『モダンガール論』

 現在放映中のNHKドラマ『おひさま』は、
戦時中の日本社会を背景にしている。

 昨日放映された中には、戦地に赴いた男に代わって、
女がさまざまな職場で働くようになるという、
「戦争と女性」に関する内容が、盛り込まれていた。


 斎藤美奈子さんの『モダンガール論』(マガジンハウス)
を思い出した。

 以下、同書の189頁から引用する。

(引用はじめ)

 戦争には「階級差別」と「性差別」という
平時における二つの差別を忘れさせる効用がある。
国民皆勤のかけ声と物資不足からくる耐久生活は、
「国民はみな平等」の錯覚をおこさせる。
 さらに、「男は戦争/女は労働」の戦時政策は、
「女性の社会進出→婦人解放」の幻想をいだかせる。
 戦争=銃後の暮らしは女性に「出世」を疑似体験させるのだ。(引用終わり)

 このドラマの脚本家・岡田恵和氏は、ストーリー作りは巧みだが、
斎藤さんのような歴史的問題意識はおそらく薄いと、私は考えている。

 岡田氏が以前、NHKの同じ時間帯で脚本を書いた
『ちゅらさん』に抱いた違和感が、持続している。
 
 いい意味で裏切ってくれればいいのだが・・・・
  
by kase551 | 2011-06-01 23:59 | | Trackback | Comments(0)

長新太『キャベツくん』

 長新太さんの『キャベツくん』(文研出版)を再読。

 もう20年以上も前に、旭川の「こども冨貴堂」で買った
この絵本は、私の愛読書のひとつだ。
 
 特に気に入ってるのが、クジラがキャベツくんを食べたら
どうなるかという「想像図」。

 
 キャベツと化したクジラを描いたこの絵は、
ホンマえぇなぁ~・・・
 
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すばらしい。
by kase551 | 2011-05-30 23:59 | | Trackback | Comments(0)