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『罪と罰』

  「サハリンスカヤ」というウオッカを、
 初めて買った。
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 最近まで拙宅の冷凍庫には、
「スミノフ」というメジャーブランドの
ウオッカが入っていたが、この「サハリンスカヤ」
の方が「スミノフ」より、私には美味く感じられる。

 ウオッカ→「呑んべぇのロシア人」という連想は、
プーチンなどの冷血指導者や、近年のロシアビジネスマン
たちを見る限り、「一昔前の連想」だといえるだろう。


 しかし、故エリツィン氏の逸話や、
私の友人であるロシア人教師(40代)
が語る「ロシア人ドリンカー」の実態を
見聞きすると、「呑んべぇのロシア人」の
イメージを、まだ私の脳内に保存していても、
まぁえぇんとちゃうやろか。

 このイメージにおいて、私はロシア人に親近感を感じることが多いんよね。
 「同類」として。^^;

 そして、故米原万里さんの著作を読み返しても・・・・

 米原さんは『ロシアは今日も荒れ模様』(講談社文庫)において、
ロシア文学における最も有名なアル中患者として、ドストエフスキーの
『罪と罰』におけるマルメラードフという人物を挙げている。

 私が『罪と罰』に初めて出会ったのは、「少年少女世界文学全集」
だったと記憶している。
 その時の印象は記憶にほとんど残っていないが、その後手にした
手塚治虫氏によるマンガ版『罪と罰』には、ホンマに感嘆した。

 それ以来、私にとっての『罪と罰』は、手塚版『罪と罰』が
すべてだった。

 しかし、青木雄二というマンガ家のエッセイを読み、彼の
「愛読書」を知った私は、
「おっ、これは絶対に、もとの小説(日本語訳されたものですが^^;)
を読まなあかん!」と強く感じた。

 『ナニワ金融道』という大傑作マンガを残した青木雄二氏は、 
 高卒後、公務員・キャバレーのボーイ・会社員・デザイン会社社長など、
さまざまな職を経て、40代半ばでマンガ家として本格的に創作活動を始める。
 その青木氏が、マンガ家デビュー前に熟読し、作家として成功してからも
読み返し続けたのが、『罪と罰』だ。
      
 いやぁ・・・
 この小説のスゴさは、「少年少女」にはわかりまへん!
 
 青木氏のエッセイに触発されて、約5年前(40歳くらいか)に
一気通読して以来、この本は常に私のそばにある。
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 主人公ラスコーリニコフの若さ・身勝手さ・直情。
 アル中の父親に代わって家計を支えるために
「身を売る」ソーニャの悲惨さと強さ。
 ソーニャの父・マルメラードフの、「どうしようもなさ」。
 そして、彼ら「庶民」の思いをあざ笑うかのように、
「わが道を往く」(ビング・クロスビーではありません^^;)
スヴィドリガイロフ。 
 
 もし青木氏のエッセイを目にしなかったならば、
おそらく私は『罪と罰』を、小説できちんと読まなかっただろう。

 こうして『罪と罰』を読み込むと、手塚氏によるマンガ版の
「すごさ」も、改めて実感する。
 ラスコーリニコフが精神的に追い詰められる場面や、
ラスト間際の広場での描写は、マンガならでは!

 そして、『罪と罰』愛読者と青木雄二ファンにとっては、
青木氏の『さすらい』(マガジンハウス)という作品集は、
「めっちゃえぇ!」よねぇ・・・
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 『罪と罰』のオマージュである「邂逅」や、
青木氏原案の『桃源郷の人々』のベースといえる
「淀川河川敷」などの傑作に加え、『悲しき友情』
という大傑作が収録されてます。
by kase551 | 2008-05-06 23:49 | | Trackback | Comments(0)


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