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彼を死なせたくない

 1972年の「あさま山荘事件」で逮捕され、
1993年に死刑が確定した坂口弘の歌集
『常しへの道』(角川書店)を読む。
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 鞭打ちや鼻削ぎなどは残虐で
 絞首の刑は
 さにあらずとや      (16頁)

 手放しで
 われの確定をよろこべる
 佐々淳行なる男ありしかな (17頁)

 悲しきは昔の友よ
 この先も
 総括なす者誰もあらざらむ (33頁)

 ダモクレスの剣の下にて
 目を背くる
 過去と死ぬまで向き合ふわれか (66頁)

 ただ一つの笑ましき記憶
 男女して
 リンチの前に腕相撲せり  (91頁)

 兵士より銃を重んぜし
 皇軍の思想によくも
 似たるわれらよ      (95頁)


 新左翼運動を誰一人として
 総括をせぬ
 不思議なる国       (110頁)

 
  60年代、70年代を「あの時代はよかった」と
 手放しで懐かしむアホどもへの嫌悪が、改めて
 つのるとともに、森達也氏が「光市事件」
 の被告に対して抱いた「僕は彼を死なせたくない」
(『死刑』[朝日出版社]、308頁)という言葉を思い出す。


 私は坂口弘を死なせたくない。
 彼を死なせたくない。    
    
by kase551 | 2008-03-07 23:59 | | Trackback | Comments(0)
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