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『縮図・インコ道理教』

 大西巨人『縮図・インコ道理教』(太田出版)を読みました。

 題名からお察しの通り、オウム真理教が縮図として表す、
この日本国家を扱った作品です。
〔未読の方は、以下はお読みにならないほうがいいでしょう〕
 いわゆる「ネタバレ」ですので・・・
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 オウム真理教に対する国家権力の対応は、近親憎悪であるという
指摘は、さすがですね。


 象徴天皇制を「君主制」とみなす大西氏の見解(40頁)には賛成できません。

しかし、「男系遺伝子」論議や、赤ちゃんに「○○さま」をつけて最大級の
敬語を使うマスコミ報道に接するたび、「オウムと天皇制って似てるなぁ・・・
カルトやねぇ・・・」と感じていた私には、「近親憎悪」ということばは、
すっと腑に落ちます。

 「死刑は、全世界的に、全廃されねばならない」(20頁)という主張にも、
賛成です。
 
 オウム関連の容疑者も、死刑にしてはいけないと思います。

 死刑に関する私の考えは、後日詳しく述べるつもりです。
 キーワードは、「刑務官の苦悩・誤審・仇討ち」です。


 作者自身による解題である「題意」は、なかったほうがよかったと思いますが、
それだけ読解力のない読者が多いのでしょうか?


 それにしても、「国民国家」的風潮が強まりつつあるこの時代において、
次のようなことばを書き続ける老作家に、敬意を表します。

 「宣戦布告」の有無にかかわらず、どちらも、それが政治的殺人であることにおいて、
一様に「人殺し(テロリズム)」であり、したがって、「人殺し(テロリズム)反対」は、
すなわち「戦争反対」でなければならない。
 「戦争」ないし「国民国家」に関する通俗概念の徹底的な打破克服の道を確立すること、
ここに、二十一世紀初頭の中心課題(当為)が、実存する。(7、8頁) 
by kase551 | 2006-03-26 22:04 | | Trackback | Comments(0)
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