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『同じ月を見ている』(ネタバレです)

 土田世紀というマンガ家の作品を、
ひさしぶりに読みました。

 『同じ月を見ている』(小学館)という作品です。
『同じ月を見ている』(ネタバレです)_c0040369_053521.jpg

 以前、『編集王』(同社刊)という作品を読んで、
思わず落涙してしまいましたが、今回も・・・・

 主人公であるドンちゃんの生き方は、
 三浦綾子さんの『塩狩峠』(新潮文庫)を
連想させます。

 土田さんは、「屈折して挫折した人間の再生」
を感動的に描くのが、実に上手いですね。

 すべてのことにおいて「自分を勘定に入れない」
ドンちゃんと、彼のおかげで再生する登場人物たち
の関係は、一種、宗教的です。

 そして、宮沢賢治の『雨ニモマケズ』の引用が
効果的で、これも泣かせます。

 私は、宮沢賢治を神格化する人が嫌いですが、
『同じ月を見ている』での引用には、「上手い!!」
と感嘆しました。
 落涙しながら・・・・・

 ここで終わればもっとよかったのにねぇ・・・

 「信念を貫いて生きてきた人間の足跡は・・・
俺たちの心から永遠に消すことはできない」という
セリフと、「見つけたね エミ」というラストで、ちょっと
しらけてしまいました。
それは、くどすぎるやろ?

 惜しいですねぇ・・・・
 単行本第7巻223頁以降は、私には蛇足すぎて・・・

 でもこの作品は、力作・傑作です。

 土田氏お得意の、芸能人似顔キャラもいいですね。
 「きたろう」「北野武」・・・・・
 
by kase551 | 2005-08-26 23:54 | マンガ | Trackback | Comments(0)


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