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30年前の教え

  1981年3月某日、18歳の私は卒業したばかりの高校を訪ね、
 高三の担任だった先生に、大学合格の報告をした。
 「えっ!」という一瞬の驚きの表情を見逃さず、私は意地悪くからんだ。
 「先生、まさか受かるとは思ってなかったんでしょう?」

  嘘のつけない先生は、苦笑いしながら答えた。
 「いや、まぁ、受からんこともないと思ってたけどなぁ・・・」
 
(それって、やっぱり落ちると思ってはったっちゅうことですやん?) 
 

 「『歴』として生きながら、『史』とならなかった人たちのことを
 考えられるようになってほしい」と生徒たちに語っていた先生は、
 「かせたには、カミソリのようにスパっとシャープに切れるタイプやないけど、
 鉈(なた)のように大きい切り口で理解することができると思うで」
 と、なぜか私を評価してくださっていた。 
  この二つのことばは、今も私の心に深く響いている。
     

  そのとき合格報告に来ていたのは、私と男子生徒1人、女子生徒2人だった。
 「よし、もうみんな卒業してるし、これからお祝いにちょっと一杯やろう」
 私たちは先生に導かれ、居酒屋の暖簾をくぐった。 

  軽くビールを飲みながら、どんな話をしたのか、
 30年経った今では、ほとんど憶えていないが、
 ひとつだけ印象深い「指導」があった。

  「酒に慣れてないころは、足が床に着くところで飲むように
  するようにな。足が着かないカウンターで飲んでたら、
  自分の足で立てるかどうか、確かめられんうちにどんどん飲まされて、
  えらい目にあうこともあるから、気ぃつけなあかんで。
  特に女の子はなぁ・・・」

   お~、さすが先生、「大人」やなぁ・・・と感嘆した。
   
   30年前の教えを、私は今、若者たちに伝えている。
    
 
by kase551 | 2011-12-07 23:59 | | Trackback | Comments(0)
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