『打ちのめされるようなすごい本』(文春文庫)を読み、あの本、どこに行ったかなぁ・・・と、迷子ならぬ迷本を、拙宅でさがす。
整理整頓能力不足ゆえ。^^; あったあった、ありましたよ。 『ユリイカ』の米原万里特集号。 これに収録されている、田丸公美子氏と 佐藤優氏の文章を読み返し、落涙。 佐藤氏の逮捕前夜。 米原さんは佐藤氏に電話をかけ、食事に誘う。 マスコミに包囲されている佐藤氏は、 「米原さんに迷惑をかけたくありません」と断るが、 彼女はまくしたてる。 「そんなことどうでもいいわよ」 「私はあなたにどうしてもいま伝えたいことがあるの。あなた、もう組織に 忠誠を尽くすのはやめたほうがいい。外務省はあなたを切っている」 「組織が人を切るときの怖さを話しておきたいの。私は共産党に査問された ことがある。あのときは殺されるんじゃないかとほんとうに怖かったわ。 共産党も外務省も組織は一緒よ。だからあのときの私の体験を話しておきたい。 あなたなら大学の先生に転身しても、外国に移住してもやっていけるわ。とにかく 外務省にこれ以上いると危ない」 「共産党も外務省も組織は一緒よ」ということばが、なんとも説得力がある。 私は『しんぶん赤旗日曜版』を購読しており、選挙では共産党候補・共産党に 投票している。 テレビで志位さんや市田さん、小池さんが主張していることに、 「せやせや」と共感している。 特に、市田さんの柔らかな関西弁と落ち着いた声が好き。^^ しかし、「筆坂事件」で露呈したような、硬直した組織の体質(飲酒セクハラ事件への 対策として、「禁酒令」を発令しようとした)には、恐怖を感じる。 学生時代、共産党主催の集会に一度参加して、「あぁ、この組織は俺には合わんなぁ」と 感じた違和感は、いまだにぬぐえない。 でも、国会での「直球勝負の質問」を、もっと聞きたいので、 これからも私は共産党に投票し続けるだろう。 話を佐藤氏の文章にもどそう。 結局、その夜に二人は会えず、翌日佐藤氏は逮捕される。 私は前から、米原さんと佐藤氏は波長が合うと感じていた。 佐藤氏は、「私が米原万里さんと会った回数は、現役外交官時代を含め、全部で 10回を少し超えたくらいだと思う。従って、私は米原万里さんを個人的によく知っているとは言えない」 と述べているが、両者の関係は、信頼しあった姉と弟のようなものだったのではないだろうか。 田丸氏によると、米原さんの密葬のとき、佐藤氏は亡骸に取りすがって 号泣していたとのこと。 「真っすぐすぎるやんちゃな妹」を慈しむような田丸氏の文章にも、目頭が熱くなる。
by kase551
| 2009-09-01 21:33
| 本
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Comments(2)
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大阪出身
at 2015-03-30 11:44
x
共産党に対する態度が、あまりにも私に酷似しているので、コメントします。
地震の原発の安全対策について、東日本大震災の何年も前から的確な質問をしていた吉井英勝氏を引退させたとき、共産党に大きく失望しました。 有権者は、共産党の思想に賛同しているというより、具体的な質問内容に賛同しているのに。 (送り損ねたと思ったので、再送信。もし先のコメントがすでに送信されていれば、無視してください。)
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Commented
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kase551 at 2015-03-31 20:58
はじめまして。真摯なコメント、ありがとうございます。
私は常々、「人間に私利私欲の感情がなければ、共産主義社会は実現できる」と考えていますが、私自身が、私利私欲に左右される俗物なので、「共産主義社会の実現は不可能」だと思います。でもそれを前提に、「まぁもうちょっと『ましな社会を』目指して、俺もちょっと『ましになろう』とは考えております。次の選挙でも、共産党候補に私は投票するでしょう。
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