懲役7年半と、懲役20年。
この違いは、飲酒による運転への影響に対する、
裁判官の判断の差だ。
被告が飲酒後に運転していたという事実認識においては、
一審も二審も共通している。
しかし一審判決では、飲酒をした店から事故現場まで、
被告が狭い道や交差点を無事故で通過している点に
注目し、「正常な運転が困難な状態ではなかった」として、
事故を、「わき見運転」という「過失」によるものだと判断した。
一方、今日の二審では、一審が注目した「狭い道や交差点での無事故」
を、「危険な運転が顕在化しなかっただけ」と解釈して、「危険運転致死傷罪」
の成立を認めた判決が下された。
20代前半のころの私は、飲酒運転を何度もしていた。
相当の飲酒をした後、狭い道を通ったり、車庫入れをしたことも多かった。
そのときには、「飲んどるから、ここは慎重にせなあかんなぁ」と、
酔いの回った頭でも考えていた。
そして広い道では、「よぉし、行ったれ~」という感じで飛ばして・・・・
私が事故を起こさなかったのは、単に運がよかっただけだ。
「危険な運転が顕在化しなかっただけ」だ。