<   2007年 06月 ( 12 )   > この月の画像一覧

志賀直哉と太宰治

  太平洋戦争当時、「シンガポール陥落」という文章を
書いた志賀直哉は、敗戦後、フランス語を「国語」に
すべきであると主張した。

  日本の昔話を下敷きにして、人間社会のおかしさ・
 不条理・苦さ・せつなさを描いた傑作連作『お伽草子』を
 敗戦直前に執筆した太宰治は、「桃太郎」をベースにした
 作品を書かなかった。
  「鬼畜米英」というお題目が唱えられる時代に「鬼退治物語」
 を避けた理由を、太宰は次のように述べている。


 「この詩の平明闊達の気分を、いまさら、いじくり廻すのは、日本に対してすまぬ」

 これが韜晦であることは、明らかだ。


  志賀と太宰。
  文筆家としてどちらが誠実であったかは、言うまでもない。
  
[PR]
by kase551 | 2007-06-28 23:59 | | Trackback | Comments(0)

ベトナムへ行った作家・写真家たち

 アジアにおける米軍による無差別虐殺・暴行が、長期間にわたって
行われたベトナム戦争。

 枯葉剤による被害など、米軍が犯した「人道に反する罪」による被害は、
今も続いている。


 そのベトナム戦争当時、多くの日本人が現地を訪れた。
 

 そして、日本に戻った彼らは・・・

 『ベトナム戦記』を著した開高健は、80年代には釣りと
美食に関するエッセイストとなり、食道がんと肺炎により
1989年に死亡した。


 写真家・石川文洋の「地を這う姿勢」は一貫してゆらぐことなく、
ベトナム終戦30周年の2005年に、『ベトナム 戦争と平和』を発表した。

 米軍・「南ベトナム」側を「取材」した石原慎太郎
(石原は、「ホスト」側が「サービス」として提供した、解放戦線・「北ベトナム」
に向けての砲弾射撃に参加する寸前、石川文洋に「あなたには殺す理由は
ないはずだ」と諌められた)は、大鵬と柏戸の横綱全勝対決を「八百長」と
中傷し(のちに謝罪)、堀江謙一氏の太平洋ヨット無寄港横断を「インチキ」
と中傷し、「三国人」「あやしい外国人」「ババア」「日本軍は強いんだから」など、
意味不明の日本語らしきものを発し続けている。

 上記の「サービス砲弾射撃」の時期に解放戦線側を取材していた
(すなわち、石原慎太郎に殺されかけた)本多勝一は、『北爆の下』や『中国の旅』、
『殺す側の論理』(イザヤベンダサン=山本七平との往復書簡がオモロイ)
『殺される側の論理』などを著し、朝日新聞退社後、
『週刊金曜日』を創刊し、侵略直前のイラクに赴き、
『非常事態のイラクを行く』などの著作を発表している。

 
戦時下の体験・戦後の姿勢には、文筆家・写真家の本性があらわれるのではないだろうか。

 「ピューリッツア賞」を受賞した沢田教一の著作にあるような、米兵と笑いながら撮影された写真や「サイゴン」でダンスに興じる自らの写真を、私は石川文洋の著作で見たことはない。


 明日は、志賀直哉と太宰治について述べたい。
[PR]
by kase551 | 2007-06-26 23:53 | | Trackback | Comments(0)

ケン ケン パッ! 

 米国・ヒル次官補のピョンヤン電撃訪問に関する
報道から、次のフレーズが頭に浮かびました。

 ケン ケン パッ!

 日本と韓国で「ケン ケン」、そしてピョンヤンで「パッ!」

 米国にとって、日本・韓国がどういう存在であるかが、
よぅわかりますなぁ・・

宣伝カーがお好きな「右翼」が、ほんまの「右翼」やったら、
米国大使館前で抗議デモでもするはずやけどなぁ・・・
[PR]
by kase551 | 2007-06-23 21:22 | 韓国・朝鮮 | Trackback | Comments(0)

憂国

 イラクの石油を略奪するために、米国が侵略戦争を
始めたのが2003年。
 日本はその片棒をかつがされ続けています。

 「改正イラク特措法」の強行採決・・・・

 ファルージャ大虐殺や、米兵によるイラク女性暴行事件など、
ベトナム戦争と同様の虐殺・暴行が続くイラク・・・・
 
 その元凶である米軍を支援するために「自衛隊」を送る
国が、「美しい」はずがありません。
 

 米軍と自衛隊の一体化、三角合併による
日本企業の買収、「英語でしゃべらナイト」などの
マスコミ番組を通した一層の文化植民地化・・・・

 これらを指摘する「ネットウヨ(インターネット上の「右翼」)」が
もっと出現してもおかしくないはずなのですが?
 

侵略戦争に「愛する祖国」が加担することを憂う・・・・
 これこそ、「愛国」「憂国」ではないのでしょうか? 
 
[PR]
by kase551 | 2007-06-21 22:04 | 社会 | Trackback | Comments(8)

贋作 枕草子

 みぐるしきもの

①己が妻を「嫁」と語るおのこ

 妻は対等な連れ合いであり 「家」の「女」にはあらず


②己が夫を「主人」と語るおなご(めのこ)

 夫は対等な連れ合いであり 「主人」にはあらず


③「家事を手伝う」と 得々と語るおのこ

 家事はそのとき在宅し 時間的肉体的余裕のある家族が
 遂行すべきものなり

 「専業主婦」に休日なきことを知らぬ夫 いと見ぐるし

 
④稚児に向かいて笑顔なき「大人」

 感情を押し殺したる仏頂面は 稚児に感染するものなり  
 いとみぐるし いとくちおし
 
 減るもんやないんやから(むしろ磨かれます)、ニッコリ笑ったれや・・・・
 
[PR]
by kase551 | 2007-06-19 23:25 | 雑感 | Trackback | Comments(0)

雑誌雑感

 帰宅して郵便受けを開けて、「おっ」と声が出ました。

 『金曜日』がもう来てるやん!


 『週刊金曜日』を定期購読していますが、金曜日に
拙宅に届けられたのは(郵送です)、今日が初めてです。
 たいてい、土日のどちらかに配達されるので、
「金曜の『金曜日』」は、ちょっと新鮮でした。

 
 広告収入に依存する新聞にはできない、
トヨタ・電通・三菱などの問題点を正面から指摘できる
雑誌として、『金曜日』は貴重な存在です。
 
 ちなみに『しんぶん 赤旗日曜版』も、本日(金曜日)
郵便受けに入っていました。
 これも初めてです。 土曜配達が普通なのに・・・・


 日本共産党の体質は、ホンマに嫌いです(中国共産党も嫌いですが)。
 「ナンバー4」だった筆坂氏の「飲酒セクハラ事件」への
批判を抑えるために出された「禁酒令」には、ぞっとしましたね。
 「禁酒令? お前ら、それでも人間か?!」と思いました。

 しかし、石原慎太郎の都政私物化や、自衛隊による市民監視の
実態などを明らかにしたのは、まちがいなく共産党の功績ですね。
 
 だから、『しんぶん 赤旗日曜版』の購読を続けます。
 
 このブログも、監視対象かもしれませんが・・・・^^;


 このほか、拙宅では、『DAYS JAPAN』『現代』『ダ・カーポ』
を定期購読していますが、『DAYS JAPAN』6月号の特集
「慰安婦 100人の証言」は、この雑誌ならではの企画だと
思います。元従軍慰安婦被害者100人の顔写真と被害状況を
見て読むと、「強制の事実を裏付ける証拠はない」という
妄言の愚かさが、一層際立ちます。

 しかし、『DAYS JAPAN』におけるべつやくれいさんの
「しろねこくん」という連載マンガは、目障りです。
 場違いなんですね。
 
 勝手な憶測ですが、「別役実」さんのお嬢さんなのでしょうか?
 
 
 ユーモアを盛り込んでくださるのなら、マッドアマノさんの
毒気あふれるブラックユーモアのほうが、ありがたいのですが・・・ 
 
 
 さて、『現代』は、斎藤貴男さんや魚住昭さんの記事が掲載されることが
多いところが気に入っています。
 特に、今年1月号~3月号掲載の、斎藤さんによる集中連載
「戦争経済大国 ニッポン」は、好企画でした。

 
 気になるのが、『ダ・カーポ』ですね。
 私は同誌の「メディア批評」を愛読していたのですが、連載陣が
大きく変わってしまいました。
 昨年までの、斎藤貴男・魚住昭・目取間俊という顔ぶれが、
斎藤さん以外の二人が、田中宇氏と高橋秀実氏になったんですよねぇ・・・・
 
 田中氏・高橋氏には申しわけありませんが、私が「メディア批評」
に求める「権力に対する問題意識」「歴史認識」において、
両氏は魚住氏・目取間氏よりも大きく見劣りします。
 
 そして『ダ・カーポ』最新号は、「麻生太郎特集」!
 どないしたん?

 かつて斎藤美奈子さんが、「チョコマカ生きる書生体質の次男坊」
と評した、(いい意味での)青臭さや問題意識が、急速に失われつつ
あることが残念で、気がかりです。 
[PR]
by kase551 | 2007-06-15 23:59 | 雑感 | Trackback | Comments(0)

反面教師

 下品やなぁ・・・・


 作家・立原正秋に関心を持ち続けている私は、
彼が私淑したという元日本経済新聞社顧問の
円城寺次郎の追悼文(『芸術新潮』1980年10月号)
を最近読み、こう感じました。

 「下品なやっちゃなぁ・・・・」

 高井有一氏による傑作評伝『立原正秋』(新潮社)で、
円城寺氏が酒に関して立原正秋を戒めたというエピソードを
知り、気になっていたのですが、原文を目にして、ため息が出ました。

 以下、 「哀悼 立原正秋」(円城寺次郎)からの引用です。

 立原さんは酒についても格別うるさかったが、酒に関する知識では
一滴も酒の飲めぬ私の方が上であった。ソ連のブランデーがおいしいと
いう立原さんにモスコーでもなかなか手に入らないアルメニアのブランデー
「ナイリ」の名を教え、かつ提供したのは私であった。ナイリはアルメニアの
古い国名である。
 またスコッチウイスキーの味についての失言を指摘してからは、ウイスキーに
ついてはあまり語らなくなった」(『芸術新潮』101頁)

 
 追悼文で自慢話・・・・・
 それも、自分を全面的に信頼してくれた人間に対して・・・・

 こんなアホな真似は、絶対にしたくないですね。

 でもこういう輩が日本の企業幹部に少なくないことを、私は経験上知っております。

 「カンブリア宮殿」にこもって、「ガイアの夜明け」を待ちつづける輩が・・・
[PR]
by kase551 | 2007-06-13 23:57 | 「在日」 | Trackback | Comments(0)

鈴木道彦『越境の時 1960年代と在日』

  先々週にお会いした朴一(ぱく いる)先生から紹介された
『越境の時 1960年代と在日』(鈴木道彦著、集英社新書)を
読みました。
c0040369_22432346.jpg

 著者の鈴木さんに関しては、『失われた時を求めて』の翻訳者として、
名前だけは知っていましたが、「金嬉老事件」裁判に深くかかわって
いらっしゃったことを、初めて知りました。

 また、「小松川事件」の犯人である李珍宇に対する洞察にも、
感銘を受けました。
 

 そして、映画『カサブランカ』の設定に嫌悪感を抱く私が、
植民地帝国・フランスという国家に感じ続ける違和感を、
私が生まれる以前から鈴木さんが感じていたことにも、
共感しました。

 
 なによりも共感をいだくのは、次のような見解です。

 「在日朝鮮人は依然として、自分のことしか眼中にない日本社会によって、
 きわめて不当な地位に留めおかれている。この両者の関係のなかで、
 このうえなく困難な選択を強いられているのは、彼らの側である。彼らを
 このような立場に追いこんだ日本という政治共同体に属する私たちは、
 この状況を生きる彼らの心に、反省をこめてできる限りの想像力を
 働かせながら、文字通り紙一重のところで暴発をおもいとどまる彼らの
 寛容な主体に、謙虚に相対する以外にないだろう」(213-214頁)


  「在日特権」などとほざく連中に、鈴木さんや私の意見を理解させることには、
 自信はありません。「バカの壁」が厚く高すぎて・・・・・


  しかし、比較的ニュートラルな考えを持つ人たち、特に若者たちには、
 李珍宇・金嬉老が、決して過去の人物でないことを、伝えていきたいです。
[PR]
by kase551 | 2007-06-11 22:44 | | Trackback | Comments(2)

タイムトラベル

 ♪タイムトラベルは楽しい♪
というのは、大貫妙子さんの「メトロポリタン美術館」
の歌詞です。

 タイムトラベル=時間旅行を扱った作品といえば、
藤子・F・不二雄さんのSF作品集が、まず頭に浮かびます。

 もちろん『ドラえもん』作品群も傑作ですが、『コミックトム』
に連載されていた『T・Pぼん』や、中央公論社から約20年前に
出版された『SF全短編』などは、青年・成人向けということもあり、
なんともいえない苦味が盛り込まれた作品も多く、
読み返すたびにうなってしまいます。

 以前ここでも紹介しましたが、「ミノタウロスの皿」などは、
何度読み返しても、感嘆するのみです。
 40代以上の方たちには、「劇画オバQ」もおすすめ・・・・


 「人間は、未来にも過去にも行ける」と、坂口尚さんは
名作『石の花』の登場人物である教師に語らせていましたが、
想像力あふれる人たちの精神世界は、ホンマに豊かなんですよねぇ・・・


 藤子・Fさんが、地球や人類を俯瞰して、それらに関する傑作を
生み出す天才である一方、藤子不二雄Aさんは、人間心理の暗部を
見つめ、それをブラックユーモアで表現する天才だと、私は思います。
「私小説」ならぬ「私マンガ」の才能もすばらしい・・・


 もし私にタイムトラベルができるなら 両藤子さんや寺田ヒロオさん、
石森章太郎(私のなかでは石ノ森ではありません)さん、赤塚不二夫さん
たちが暮らし、つのだじろうさんや長谷邦夫さんたちが出入りしていた
「トキワ荘」を見学したいですねぇ・・・・

 『スポーツマン金太郎』『サイボーグ009』『天才バカボン』
『銀座花族』『パロディ漫画大全』・・・ 
 すべて私の愛読書です。
[PR]
by kase551 | 2007-06-07 22:58 | マンガ | Trackback | Comments(0)

みんなのうた

「NHK『みんなのうた』の『おしりかじり虫』っちゅう歌が
おもろいでぇ」と知人に教えられ、予約録画しました。

 帰宅して聴いてみると、ほんまにオモロイです。

 ナンセンスソングの傑作といえるでしょう。
 アニメーションも可愛らしく、これはおそらく
コアなファンを獲得しているだろうと思います。


 ♪おしりかじり虫~ おしりかじり虫~
  かじってかじってかじってなんぼ・・・・♪


 
 大貫妙子さんが20年以上前に『みんなのうた』に提供した
「メトロポリタン美術館」を、ひさしぶりに聴きました。

 今朝の新聞テレビ欄を見て、「おぉ!」と
楽しみにしておりましたが、やはり名曲ですね。

 以前にもこのブログで述べましたが、大貫さんの声は、
細くやわらかですが、芯が強く、開放感があります。

 ファンの方には申しわけありませんが、「歌が上手い」
といわれる平原綾香さんや一青窈さんの歌は苦手です。
 平原さんのくぐもった(こもった)発声と、一青さんの
「私は感性豊かなのよ!」と言わんばかりの唱法には、
うんざりしてしまいます。


 まあそれはともかく、大貫さんの「突然の贈り物」を
テレビで聴けるとは思いませんでした。
 
 ♪置き忘れたもの なにもかもそのままにあるの
  しあわせでいたなら それでよかった♪
 
 
 番組において大貫さんは、
「アコースティックサウンドが自分の音楽だ」という姿勢を
強調していましたが、今CDで聴いている、エレキサウンドを
バックにした「突然の贈り物」も、私は好きです。

 むしろ、コンクリートに咲くタンポポや、アスファルトから芽吹く
草のように、バック演奏がエレキサウンドの方が、大貫さんの声の
魅力を、より深く感じられるかも知れません。
[PR]
by kase551 | 2007-06-06 23:59 | 音楽 | Trackback(1) | Comments(7)