2008年 04月 07日 ( 1 )

『インドへ馬鹿がやって来た』

 先日購入して未読だった『インドへ馬鹿がやって来た』
(山松ゆうきち著、日本文芸社)を読む。
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  山松ゆうきちといえば、「ざかざんざかざん」の
 雨音を連想する方も多いだろう。

  カタコトのヒンディー語しかできない山松氏が、
 平田弘史氏の『血だるま剣法』のヒンディー語版を
 インドで翻訳・出版・販売する悪戦苦闘の過程を
 描いた『インドへ馬鹿がやって来た』 は、
 藤子・A・不二雄『まんが道』、吾妻ひでお『失踪日記』、
 卯月妙子『実録企画モノ』、花輪和一『刑務所の中』、
 ひさうちみちお『精G』と同様に、「私マンガ」の傑作だ。
 
  そして、インド社会の一面を生き生きと伝える、 
 すぐれたルポルタージュでもある。

  山松氏が翻訳出版した作品が、『血だるま剣法』
 であることも、「すごい!」と思う。
  この作品は、被差別部落出身の主人公・猪子幻之助が、
 理不尽な差別ゆえに苦闘し、復讐に燃えるという内容であり、
 かつて部落解放同盟から抗議を受け、絶版に追いやられたという
 背景を持つ。
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平田弘史『血だるま剣法・おのれらに告ぐ』(青林工藝社)、51頁

 カースト社会のインドで、この作品を翻訳出版する意義は大きい。

  また、翻訳出版を、植民者・英国人たちが広めた言語である英語ではなく
 ヒンディー語で行ったという点も、すばらしい。

  この二点に注目しない『朝日新聞』のマンガ書評担当者を、
 私は信用しない。
 
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by kase551 | 2008-04-07 23:00 | マンガ | Trackback | Comments(2)