『狂犬トロッキー』(原作:滝沢解)は、赤塚作品の中では
異色の「革命マンガ」だ。
この作品を私は、リアルタイムでは読んでいない。
「赤塚不二夫漫画大全集」(小学館)の一冊(№158)
として、数年前に手にしたのだが、きわめて強烈な印象を受けた。
人間に飼いならされた犬たちが、「主体性」を取り戻すために
「革命」を起こそうとする。
その主導者(主導犬)が、トロッキーだ。
そう、ロシア革命の指導者であり、スターリンによって
追放され、暗殺された、トロツキーと同じ名前である。
「支配階級」である人間を倒して、「世界を一新」しようとする
トロッキーは、東京占領を目指すが、かつての「同志」スターリン
(もちろん犬です)から、暗殺されそうになる・・・・
三島由紀夫による「クーデター未遂」を明らかに意識した場面など、
迫力と悲哀に満ちた描写に圧倒される。
この『狂犬トロッキー』と、赤塚氏のトキワ荘における
「同志」だった藤子不二雄Aによる『劇画毛沢東伝』(実業之日本社)は、
私にとって、「革命マンガ」の双璧だ。