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想い出の赤塚作品(3)

  赤塚不二夫の葬儀におけるタモリの弔辞が
話題になっている。

 両者の深い関係について私は、
『トキワ荘青春物語』(蝸牛社)などを
読んで、「えぇなぁ」と思っていた。
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 同書に収録されている赤塚氏のエッセイ「ボクの居候文化論」には、
次のように書かれている。

 ボクは、"居候文化"というものがあり、そしてあり続けるべきだという
信条をもっている。売れないヤツが売れてるヤツのところに居候して、
その間に学び、鍛え、充電する。
 居候させてるヤツは、なんにも言わず、それが当然のこととして面倒を見る。
そしてその居候が世に出ることをもってお返しとする(43頁)。

 そしてタモリを、「ボクの居候の傑作はタモリである」(42頁)と紹介している。
 
 タモリとの出会いについて、「ヘッドスタッフの長谷邦夫が知らせてくれたのだが」
と、長谷氏の功がきちんと記されている点が良い。

 また赤塚氏はこのエッセイにおいても、そしてマンガ「トキワ荘物語」においても、
自分が石森章太郎(私〔かせたに〕は、「石ノ森」とは書きたくないです^^;)の
「居候」であったことや、トキワ荘の「寮長」的存在だった寺田ヒロオが赤塚氏に、
「適切なアドバイスをしてくれ、大金まで貸してくれた」(43頁)ことを、感謝を込めて描いている。


 赤塚氏とタモリに関する一連の記事の中で、赤塚氏と寺田氏の関係について触れたものが、
あったのだろうか?
 それをふまえれば、タモリの感動的な弔辞は、一層味わい深くなると思うのだが・・・


 寺田さんの名作『スポーツマン金太郎』(虫プロ商事版)は、
「ブッカ ブッカ ドンドン」という第一巻のオープニングから、
「ターザン、また会おうね」と、金太郎と桃太郎が、夜空に飛ぶ飛行機を見上げて、
天才野球少年・ターザンに語りかける第三巻のラストまで、ホンマに
丁寧に描かれていました。
  
 このような名作を描いていた寺田氏が筆を折り、酒を飲み続けて死んだことや、
アルコールに依存した赤塚氏から、周囲の人たちが離れていくありさまは、
長谷邦夫『漫画に愛を叫んだ男たち』(清流出版)に詳しく描かれている。  
 
 同書と、『赤塚不二夫天才ニャロメ伝』(マガジンハウス)は、
タモリの感動的な弔辞以上に、深く濃い愛に満ちた長谷氏による
すばらしい「弔辞」だと、私は思う。
  
by kase551 | 2008-08-09 23:27 | マンガ | Trackback | Comments(0)


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