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『アラビアのロレンス』

昨日少しだけ触れた、『アラビアのロレンス』は、
私が特に好きな映画のひとつです。

 実在の人物である英国軍人ロレンスの「夢と挫折」を
描いたこの映画は、「個人と国家」「異文化接触」など、
さまざまなことを考えさせてくれます。

 英国軍将校でありながら、砂漠の民に共感し、
「アラブ解放」のために情熱を傾けていく「ヒーロー」
としてのロレンスは、颯爽ということば、そのものです。

 新聞記者の「なぜ、砂漠が好きなのですか?」という
質問に、「清潔だから」と答えるロレンス。
 たぶん、"It's clean"と言っていたと
記憶しています。


 しかし彼は、アラブでの利権確保のみを考える
母国(英国)と、外国勢力とのかけひきで生き残りを
図ろうとするアラブ世界の指導者(ファイサル王子)
の思惑により、結局は「捨て石」となり、失意のまま
アラビアを離れます。

 
 ロレンス役のピーター・オトゥールも素晴らしいの
ですが、何と言っても魅力的なのが、ガチガチの
アラブ民族主義者・アリを演じるオマー・シャリフです。
 
 最初は警戒していたロレンスを友人として認めていく過程が、
なんとも味わい深いですね。


 アリとロレンスのやりとりも印象的です。

 古びた毛布を持っていこうとするロレンスに、アリが声をかけます。
 
 「汚いぞ」

  ロレンスが答えます。
  「でも、あたたかい」

  "It's not clean. But warm"  
  だったと思います。

  "It's clean"との対照の妙を感じます。
by kase551 | 2007-11-27 22:48 | 映画・ドラマ | Trackback | Comments(0)


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