クロード・ルルーシュ監督作品で、もうひとつ忘れがたいのが、
約10年前に公開された『レ・ミゼラブル』です。
これは、
ユゴーの名作小説の映画化というよりも、ルルーシュ独自の『レ・ミゼラブル』です。
冤罪によって父親を失い、母親は身売り・自殺という少年時代を
送ったアンリは、プロボクサーとして活躍するようになり、引退後、
運送業を営みます。
第二次世界大戦が始まり、「ユダヤ人狩り」から逃れるための
「引っ越し」を請け負ったアンリは、雇い主であるジマン一家と
親しくなります。
文盲の彼は、道中『レ・ミゼラブル』を読み聞かせてもらい、
「これは俺の話じゃないか!」と、物語の世界に魅了されます。
ナチス占領下のフランスでは、ビシー傀儡政権が樹立されます。
アンリとジマン一家は追い詰められ、ジマンの幼い娘を託された
アンリは、彼女を修道院に預けます。
そして、ジマンの妻はビシー政権の「忠犬」に捕えられ・・・・
アンリはレジスタンス活動に参加し・・・・
この作品の公開当時、私は韓国で生活していました。
『20世紀 レ・ミゼラブル』という題名で上映されたこの映画を
二日連続で見た私は、20世紀を生きるアンリとジマン一家の姿と、
『レ・ミゼラブル』の世界を巧みに重ね合わせるルルーシュ監督の力量に、
感嘆しました。
原作におけるコゼットとジャン・バルジャンの関係を、ジマンの娘とアンリの関係
に置き換えるあたりも絶妙です。
ここまで書いて(タイプして)きて、もう一度観たくなってネット検索しましたが、
DVDは出ていないんですね。残念。
「amazon」で、中古ビデオテープを注文しました。