先日、
暴力団山口組の総本部に警察の捜査が入りました。
故鶴田浩二さんや藤純子さん、高倉健さんたちが演じた
「かっこいいやくざ」という虚像を離れ、「身もフタもない」暴力団の
姿を描いた映画が、『仁義なき戦い』です。
このシリーズは、かつて新世界の「トビタ東映」「トビタシネマ」などで
何本か見たのですが、やはり第一作(1973年作)が最高傑作ですね。
敗戦直後の広島を舞台に、占領軍・闇市・朝鮮戦争利権・覚せい剤・
競艇利権・地方議員と暴力団との癒着などをリアルに描いた
この作品は、「義理堅く」「人情味ある」菅原文太さん・梅宮辰夫さん
たちが利用され、使い捨てられ、殺され(菅原文太さんは生き残ります)、
狡猾な組長(金子信雄さん)と機会主義者の腰ぎんちゃく(田中邦衛さん)
が甘い汁を吸うという「身もフタもない」内容です。
今あらためて見直すと、俳優たちの好演が光りますね。
主演の菅原さんは言うまでもありませんが、
昔かたぎの「正統派やくざ」を演じる梅宮さんも、いい味を出しています。
そして、義理も人情もなく、狡猾・小心・卑劣極まりない
役を演じる金子さんと田中さんが、また上手いんですね。
『仁義なき戦い』シリーズには、人徳もカリスマも腕もない組長と
腰ぎんちゃくが、狡猾さを武器に生き残っていくという、
大きなテーマが流れています。
しかし、このシリーズにおける組長も腰ぎんちゃくも、
狡猾さ・機を見る力という「才覚」で世渡りを続けているという
点においては、今の自民党の二世・三世政治家よりは、ましですね。
七光り、四十九光り(祖父7×父親7)で政界にのさばる、
人徳も教養も人情もない世襲政治家たちが、彼らよりは
まだ人情も人徳もある(と私は思います)野中広務さんや
亀井静香さん(死刑廃止論者です)たちを切り捨て、
追いやろうとする・・・・・
映画よりもはるかにえげつない、「仁義なき自民党」ですね。
「外道」だらけ・・・・