宮沢賢治・のらくろ・ケロロ軍曹

 気になりながらも未読だった米村みゆきさんの
『宮沢賢治を創った男たち』(青弓社)を、ようやく読みました。

 「宮沢賢治信者」に違和感を抱き続けている私には、
実に勉強になる本です。

 名作「風の又三郎」ではない、未発表の
「風野又三郎」に盛り込まれていた「帝国主義性」や、
発表された「風の又三郎」において、モリブデンの発掘という
「擬似植民地開発」が、又三郎の去就の理由であるという
指摘には、「あぁ、なるほど」と思わされました。

 戦時中利用された「雨ニモマケズ」が、戦後にさらに
人気を増して、教科書にも採用されたことに関して
米村さんは、次のように述べています。

 「ただ、それは同時に、それぞれの時代ごとの公の
意思=権力構造のなかに賢治そして『雨ニモマケズ』
が歓迎され、組み込まれ、その意図に沿うものとして、
取り扱われてきたことを意味する」(227頁)

 この文を読んで、田河水泡さんの『のらくろ』を思い出しました。
 当初は、野良犬の黒吉(のらくろ)が、「猛犬連隊」に入隊して、
こっけいな失敗を重ねながら、サルやカエルなどという
「ありえない敵」との戦争を通して出世していくという
「戦争ごっこマンガ」だったのですが、日本の社会変動に合わせて、
豚勝将軍という、明らかに中国を意識した「敵」が登場し、
連載終了直前には、のらくろは「資源開発」のために大陸に渡り、
「金剛君」という「半島の同胞」が登場します。


 もちろん、宮沢賢治と田河水泡を同一視はできませんが、
「公の意思=権力構造」と文学・マンガ・映画などの関係に
おいて、共通するものを感じます。

 ずっと「イヤな感じ」がしている『ケロロ軍曹』が、
防衛省のイメージキャラクターに使われないことを祈ります。

 「テロから日本を守るであります!!」
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by kase551 | 2007-02-12 22:07 | | Trackback | Comments(0)
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