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坂口尚

 坂口尚さんのマンガが好きです。
 
 『魚の少年』『ウルフガイ(原作:平井和正)』
『あっかんべー一休』など、多くの傑作を残し、
また、アニメーターとしても抜群の実績を残し、
49歳の若さで亡くなった作家です。

 私が特に好きなのが、『石の花』と『12色物語』です。

 セルビア、クロアチア、ボスニアなど、旧ユーゴスラビア
の現代史を、前者は活写しています。

 現実への嫌悪・絶望を抱きながらも、未来への希望を
捨てないという描写がいいんですね。
 主人公の少年の成長過程を読者が同時に体験するという
妙味もあります。

 後者は、12の色をモチーフに、さまざまな国・地方の
人間模様を描いた連作です。
坂口尚_c0040369_23443325.gif

 作品ごとに味わいは、当然違いますが、共通するのは、
「生きる」ということを、真摯に考えているという点ですね。
 
 たしか大学2年くらいのとき、偶然立ち読みした
『コミックトム』に掲載されていた下のコマを見て、
「なんや、この画の上手さは!!」と思ったのが、坂口作品を
読み始めたきっかけでした。
坂口尚_c0040369_23441910.gif
(上巻 150-151頁) 

 これは、「万年筆」という作品の一部分です。
 妻子を捨てた父を憎む一方で、その父からもらった万年筆
のインクとボルガ川の流れを重ね合わせてたたずむ少年の
姿は、「マンガって、こんな表現ができるんか!!」と、私に
大きな驚きを与えてくれました。
 
 ほんまに、惜しい人を失ったと思います。

 坂口尚さんと、ナンシー関さんと、米原万里さんだけは、
私より長生きしてほしかった・・・・
by kase551 | 2006-08-24 23:48 | マンガ | Trackback | Comments(2)
Commented by かわせ at 2006-08-25 11:57 x
僕も坂口さんを敬愛しています。『あっかんベェ一休』は学生にも読ませようと思って研究室に置いてあります。『12色物語』は講談社マンガ文庫で読みました。『石の花』も学生に読んで欲しいマンガですねえ。
Commented by kase551 at 2006-08-25 22:56
京都は、『あっかんべェー一休』を読むのに絶好の環境ですね。
 うらやましい!

 ワールドカップ開催時に、「クロアチアを知るためには、『石の花』と
いうマンガがいいですよ」と言ってくれるTVコメンテーターは、いたのでしょうか?
 たぶんいなかったでしょうねぇ・・・。


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