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さとうきび畑

 「さとうきび畑」という歌をはじめて聴いたのは、NHK『みんなの歌』
という番組で、ちあきなおみさんが歌うのを耳にしたときでした。
 
 あの深みある声で、おだやかに歌われる歌詞の重さに、
大きなショックを受けました。

 「あの日鉄の雨に打たれ 
  父は死んでいった
  夏の日差しの中で」(2番歌詞より)

 このイメージは強烈で残酷です。

 
  歌詞を一部紹介します。

  さとうきび畑  寺島尚彦作詞・作曲

  ざわわ ざわわ ざわわ
  広いさとうきび畑は
  ざわわ ざわわ ざわわ
  風が通りぬけるだけ
  今日も見渡すかぎりに
  みどりの波がうねる
  夏の陽ざしのなかで

  ざわわ ざわわ ざわわ
  広いさとうきび畑は
  ざわわ ざわわ ざわわ
  風が通りぬけるだけ
  昔海のむこうから
  いくさがやってきた
  夏の陽ざしのなかで

  ざわわ ざわわ ざわわ
  広いさとうきび畑は
  ざわわ ざわわ ざわわ
  風が通りぬけるだけ
  あの日鉄の雨にうたれ
  父は死んでいった
  夏の陽ざしのなかで

   ざわわ ざわわ ざわわ
   風に涙はかわいても
   ざわわ ざわわ ざわわ
   この悲しみは消えない  


 『みんなの歌』で流れていたのは、
確か上記の歌詞だったと思います。

 長い間私は、これが全歌詞だと思っておりましたが、
森山良子さんが歌うのを何度も見聞きするうちに、
この曲の歌詞が11番まであることを知りました。
 上記の歌詞は、1~3番と、11番らしいですね。

 しかし私は、この「中抜き短縮版」の方が好きです。

「知らないはずの父の手にだかれた夢を見た」(6番歌詞より)
「父の声をさがしながらたどる畑の道」(7番歌詞より)
 などは、失礼ながら蛇足だと思います。

 特に、森山さんが感情を込めて歌い上げる次の歌詞は、
「これは言わんほうが(言わないほうが)ええんとちゃいますか?」
と思ってしまいます。

 「お父さんて呼んでみたい お父さんどこにいるの」(8番歌詞より)

 
 前述した2番の歌詞
 「あの日鉄の雨に打たれ 父は死んでいった 夏の日差しの中で」
の強烈なイメージが、薄められてしまうような気がしてなりません。
 あたかも「お涙ちょうだい」のように・・・・


 サッカーの試合前に「君が代」を朗々と歌い上げることが
できる森山さんが、沖縄で「お父さんて呼んでみたい 
お父さんどこにいるの」と声を張り上げている姿を、
以前テレビで目にしてしまったことがあります。
 
  バチ当たりまっせ・・・

  くわばらくわばら・・・・ 
by kase551 | 2006-06-06 22:37 | 沖縄 | Trackback | Comments(4)
Commented by Morris. at 2006-06-08 17:42 x
森山良子はきらい、ちあきなおみは好き。ということでは、かせたにさんと同じ趣味ですね。
「この広い野原いっぱい」とかいう初期の曲から嫌いでした。
「ざわわざわわ」と始まるさとうきび畑も一度も良い曲と思ったことはありません。ちあきなおみバージョンというのも、いまのところパスです。
ちあきなおみ、といえば、先日のNHK番組が良かったです。
旦那(マネージャー役兼任?)が亡くなったのが、唄わなくなった原因のようですが、とりあえず、今、一番、復活して欲しい歌手ですね。
Morris.亭には石原裕次郎ナンバーだけのCDがあります。これがまた、実に良いです。
コメントでなくDMみたいですね(^^;)
Commented by kase551 at 2006-06-08 23:26
あの番組は、私も見ました。
森昌子さんよりも復活が望まれる歌手だと思います。
声の深みと湿り気(色気?)が、なんともいえない魅力ですね。
今度、新Morris.邸で、CDを聞かせてください。
Commented by aufraeumen at 2010-06-26 00:06 x
こんばんは。

以前、こんなに観光客が増える前に、八重山諸島に通っていたことがあり、「さとうきび畑」は、歌手ではなく、旅人がうたうのを聴いたのが初めての出会いでした。

今は、パンクで歌う人もいるようですが
「鉄の雨にうたれ」「夏の陽ざしのなかで」の鮮烈なイメージは、やはり淡々と、深い声で歌ってほしいという点、同意します。

この歌を聞くと思い出すのが、波照間小学校の塀に書かれている詩です。
戦争中、西表島に疎開させられ、マラリアで死んでいった子供たちを詠んだものでした。


ちあきなおみ、いいですね。
「喝采」も好きな歌です。
Commented by kase551 at 2010-06-26 21:42
 aufraeumenさん、同意してくださり、うれしゅうございます。淡々と深い声で歌われるちあき版「さとうきび畑」からは、
「泣かせたい節」の森山版よりも、はるかに深い怒り・憤り・悲しみを感じます。

 波照間小学校、ぜひ訪れたいです。
 お教えくださり、ありがとうございます。


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