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『砂の器』

 小倉出身の作家といえば、松本清張氏ですね。

 中学生の頃、本好きの叔父からもらった小説本数冊の
中に、『砂の器』(光文社)がありました。
 
 ひまつぶしにパラパラと読み始めたのですが、
すぐにその世界に引き込まれ、一気に読了しました。

 いわゆる「ズーズー弁」が、東北以外の地方でも
使われているという事実が、新鮮でした。
 また、ハンセン病に対する偏見の恐ろしさを示した
という点においても、この作品は傑作といえます。
 そして、主人公のベテラン刑事が食べるお茶漬けや
味噌汁などの描写がリアルで、おいしそうなんですね。
 「神は細部に宿る」・・・・・

 約30年前に見た映画のリマスター版DVDを買い、
20代の若者に貸しました。
 「3年前ぐらいのテレビドラマ版より、こっちが100倍ええでぇ・・・」
と言いながら。

 しかし、あのテレビドラマ『砂の器』は、ひどかったですね。
 原作や映画が描いた、ハンセン病に対する偏見への問題意識を
完全に削除してしまっていました。

 松本清張氏がご存命なら、あのドラマは実現しなかったでしょうねぇ。
by kase551 | 2006-05-26 01:07 | | Trackback | Comments(0)


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