出勤途中、アスファルトの上を動く青虫(イモムシ)
の姿を目にしました。
植え込みまで3mあまりの距離だったので、
「このまま這っていけるやろ」と思い、通り過ぎました。
しかし、もしかしたら自転車や人につぶされてしまうかも
と思い直しました。
引き返し、つまんで植え込みの葉の上に置きました。
久しぶりに触るイモムシの感触は、やわらかで、ほのかな
あたたかさがありました。
小学生時代、アゲハチョウの幼虫を飼育して、孵化させたことを
思い出しました。
アゲハの幼虫は、触ると黄色い触角を出して、独特の匂いで
抵抗するのですが、今日の幼虫は、無抵抗で「愛い(うい)ヤツ」でした。
ふと、手塚治虫さんの『火の鳥 鳳凰編』と、芥川龍之介さんの
『蜘蛛の糸』を思い出しました。
前者については後日述べますが、『蜘蛛の糸』は、あまりにも
有名なので、説明の必要はないでしょう。
もし私が主人公の「カンダタ」なら、彼と同じことをしないとは言いきれません。
「これは俺の糸だ、お前らは来るな!」と言わないという自信はありません。
ここで思い出すのが、三浦綾子さんの『塩狩峠』です。
ブレーキが利かず、暴走する客車を止めるために、
線路に身を投げて多くの人の命を救った青年の話です。
小泉さん・安倍さん・麻生さん・竹中さん・中川さんたちに対しては、
当然、「カンダタ的」になるでしょうが(それ以前に、彼らはわれわれを
「捨て石」にするでしょう)、私にとって大事な人たちが、事故や病気や
理不尽な暴力に脅かされた時には、『塩狩峠』の主人公のように
ふるまえれば、と思います。