1979年に単行本が出て、たしか1983年?に
文庫化された、かんべむさしさんの作品です。
読み返すたびに、感嘆する傑作です。
NHKとおぼしき公営放送局に
「あなたの意見わたしの意見」という
番組が新設されます。
政府の意向を反映して・・・・
この番組は、番組制作陣が選んだ出演者が
生放送で私見を述べ、それに対する視聴者からの
電話入力投票を行うという、「視聴者のための」
番組です。
これが、「魔女狩り」なんですね。
たとえば、
「核兵器がダメなら、一般兵器は
問題ないのか? 考えてみれば、
『核兵器反対!』だけを声高に叫んで、他の
兵器を野放しにするのは変じゃない?」
と考えている人が、問題提起の意図で
知人に 「核兵器のどこが悪いのか?」と
発言すれば、彼は「番組」に引っ張られ、
「核兵器支持者」として断罪されます。
視聴者に伝えられるのは、短時間の
断片的な情報のみ・・・・・
かくして彼は、社会的に葬られます。
このような「異端者」を排除し、
日本はひとつの方向へ・・・・・
まさに今の日本ですね。
イラクで人質になれば「自己責任」
郵政民営化に反対すれば「守旧派」・・・・
う~ん、この名作が絶版か・・・・・
中身スカスカの難病ものや、トラウマもの全盛のこの時代・・・・