土田世紀というマンガ家の作品を、
ひさしぶりに読みました。
『同じ月を見ている』(小学館)という作品です。
以前、『編集王』(同社刊)という作品を読んで、
思わず落涙してしまいましたが、今回も・・・・
主人公であるドンちゃんの生き方は、
三浦綾子さんの『塩狩峠』(新潮文庫)を
連想させます。
土田さんは、「屈折して挫折した人間の再生」
を感動的に描くのが、実に上手いですね。
すべてのことにおいて「自分を勘定に入れない」
ドンちゃんと、彼のおかげで再生する登場人物たち
の関係は、一種、宗教的です。
そして、宮沢賢治の『雨ニモマケズ』の引用が
効果的で、これも泣かせます。
私は、宮沢賢治を神格化する人が嫌いですが、
『同じ月を見ている』での引用には、「上手い!!」
と感嘆しました。
落涙しながら・・・・・
ここで終わればもっとよかったのにねぇ・・・
「信念を貫いて生きてきた人間の足跡は・・・
俺たちの心から永遠に消すことはできない」という
セリフと、「見つけたね エミ」というラストで、ちょっと
しらけてしまいました。
それは、くどすぎるやろ?
惜しいですねぇ・・・・
単行本第7巻223頁以降は、私には蛇足すぎて・・・
でもこの作品は、力作・傑作です。
土田氏お得意の、芸能人似顔キャラもいいですね。
「きたろう」「北野武」・・・・・