ミロス・フォアマン監督『ヘアー』を約25年ぶりに観ました。
ベトナム戦争の愚かさを描いた、1979年の傑作です。
「原作ミュージカルには及ばない」という方もいるようですが、
映画しか見ていない私には、充分感動的な作品です。
余計なお世話・・・
地方出身の青年(ジョン・サベージ)が、ベトナム派兵の
ために徴兵され、都会(NY?)に向かいます。
そこで彼は、徴兵通知書(かつての日本で言えば「赤紙」)
を燃やしたヒッピー達と出会い、友情・恋を経験し、徐々に
「これでいいのか?」と思いはじめます。
ヒッピー達のリーダー(トリート・ウイリアムス)とメンバーの
ジニー(アニー・ゴールデン)が、実にいい味を出しています。
主演のサベージさんは、たしか『ディア・ハンター』
(マイケル・チミノ監督)にも出ていましたが、
こちらのほうがずっといいですね。
同じ「ベトナムもの」でも、雲泥の差です。
今こうして『ヘアー』を見てみると、
ヒッピー達の弱さ・甘さも目につきます。
親に経済的に依存したり、自分の子供に対する
責任感が薄かったり・・・・
そのあたりをちゃんと描いている点が、監督の力量でしょうね。
昔この映画を観た時、悲喜劇の極みとも言うべき結末(戦死)に、
思わず笑ってしまいました。
後日、某雑誌で「なぜ笑いが出るのか。戦争を知らぬ世代といえども、
ひどすぎる」という投書を読み、「笑ったらあかんのかなぁ~?」と、
当時は反省・疑問の念を抱きましたが、今ではきちんと言えます。
あれはやはり、笑ってあたりまえだと。
侵略戦争に動員される愚かさ。
そして、動員されるのは誰でもいいという事実。
これはやはり笑えますね。
Let the sunshine in!
日の光を! というフレーズが印象的です。
イラク侵略戦争がいまだに続くいまこそ、
ぜひリバイバル上映していただきたい作品です。
パワーが沸いてくる傑作です。