名作『あしたのジョー』を再読するたびに違和感を覚えるのが、
主人公・矢吹丈からタイトルを奪われる東洋バンタム級チャンピオンの
金竜飛に関する描写。
朝鮮戦争で孤児となり、飢えのために父親を殺してしまう
(父とは知らずに)という体験により、異常なほどの少食に
なったという金竜飛に対して、減量に苦しむ矢吹丈は劣等感を抱く。
しかしタイトルマッチの途中で、
「金は『食えなかった』んだが、力石の場合は自分の意思で
『飲まなかった』『食わなかった』」と、死を引き換えに
自分との勝負を選んだ力石を思い出し、
矢吹は金をKOする。
力石徹の「勝負根性」を讃えることには全く異論はないが、
このストーリー展開は、金竜飛が朝鮮戦争で体験した「地獄」を、
力石の「減量地獄」よりも相対的に軽いものだとゆうてるようで、
どうもイヤなんよねぇ。
その朝鮮戦争によって、日本が高度経済成長の基礎を
築いたという歴史的事実を知るだけに、なおさら・・・・