「憂国のラスプーチン」(佐藤優原作、長崎尚志脚本、伊藤潤二作画)
を楽しみに、『ビッグコミック』を毎号買っている。
佐藤優氏の体験を基にしたこのマンガは、外務省、そして検察という
組織の実態を垣間見ることができ、実におもしろい。
佐藤氏をモデルとした主人公・憂木衛は、相当に美化されているが、
それを差し引いても、「憂国のラスプーチン」は傑作だと思う。
今号では、憂木の愛猫「チーコ」が冒頭で紹介され、
「猫は餌をくれ、排泄物を処理してくれる人間を忘れない・・・・裏切らない。
だから君も絶対に人を裏切るな」と、エリツィンの参謀だったブルブリスの
言葉を思い出すという展開になっている。
(『ビッグコミック』2011年10月25日号、148頁)
この猫の、「チーコ」という名前に「ん?」と思う。
そう、つげ義春の「チーコ」です。
売れないマンガ家と、酒場勤めをしながら彼を支える女。
女が買った文鳥の「チーコ」は、ふたりにとって、一時は
「幸せの青い鳥」のようだったが・・・・
(つげ義春『ねじ式 =異色傑作選1=』小学館、56-57頁)
なんともせつない、この短編傑作マンガを再読し、
つげ義春の「上手さ」に感嘆。
微妙な感情描写もさることながら、マンガ家が
吸っている煙草が、鳩をあしらった包装の「ピース」で
あることなど、「うまいなぁ~」と思う。
オレやったら意地悪く「ホープ」にしていたかも?
それではあまりにも救いがない。