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かんべむさし『黙せし君よ』

  かんべむさし『黙せし君よ』(双葉文庫)を再読する。
かんべむさし『黙せし君よ』_c0040369_06216.jpg

 17,18年ぶりやね。

 当時の私は、かんべ氏の「学生運動関連作品」として、
この作品と『片隅の決着』(双葉社)を読んだ。


 かんべむさしの作品は、かつて兄の本棚にあった
『決戦日本シリーズ』と『建売住宅温泉峡』などを
読んで「おぉ、おもろいやんけ!」と好きになり、
『水素製造法』『宇宙の坊っちゃん』などを自分でも
買い込んで愛読し、「筒井康隆みたいな天才やなぁ」と
思っていた。

 その筒井氏が『みだれ撃ち涜書ノート』で高く評価していた
『サイコロ特攻隊』と『公共考査機構』を読み、
かんべ氏の社会に対する意識の深さにも感嘆した。


 話はずれるけど、三崎亜記も、天才やねぇ・・・・
 
 
 『公共考査機構』は、今でもときどき読み返している。
 
  『黙せし君よ』『片隅の決着』を読んだとき、
 『公共考査機構』における問題意識のベースを垣間見たような
 気がした。

  17,18年前に読んだとき、わたしは『片隅の決着』の方に
 惹かれたが、今読み返すと、『黙せし君よ』が断然良い。
  「あの運動」にのめり込めなかった二人の主人公の
 心理描写、大阪の風景(梅田・新世界など)描写、そして、
 「あの運動」が「終わった」とは思っていない二人・・・・


  う~ん、これは、今こそ読まれるべきやねぇ。
by kase551 | 2010-03-22 23:59 | | Trackback | Comments(4)
Commented by 稲田 at 2010-03-23 20:00 x
懐かしの「かんべむさし」ですね。
そう言えば、最近、かんべさんの新刊文庫を見かけました。
ラジオ大阪の朝番組でパーソナリティ続けていたみたいで、その顛末記ですね。「ミラクル三年、柿八年」 (小学館文庫)。
日本のSF分類の作家は、冷遇されてますね。
実験的ですけど、普通の小説なのに。
「黙せし君よ」は図書館で借りてみます。
Commented by kase551 at 2010-03-23 21:44
 そう、かんべさんは「朝はミラクル」という番組を担当していたんですよね。関西に住む人がうらやましい・・・^^;

 
 筒井氏が『大いなる助走』において自虐的に描いているように、また、最相葉月さんの労作『星新一』に描かれているように、「SF分類の作家」に対する「文壇」「文壇マスコミ」の
対応は、ホンマに呆れますね。
 おそらく、星氏や筒井氏たちの超人的な想像力・発想力についていけないので、「文学的な面白さとは思われなかった」(http://homepage1.nifty.com/naokiaward/kogun/kogun44HS.htm)、「直木賞の品格からは、はずれていることも、みとめざるを得ない」(http://homepage1.nifty.com/naokiaward/kogun/kogun58TY.htm)などと、わけのわからぬ切り捨て方をしてきたんですよねぇ・・・

 「全共闘」世代を描いて直木賞を受賞した藤原伊織の『テロリストのパラソル』(http://homepage1.nifty.com/naokiaward/jugun/jugun114FI.htm)よりも、直木賞候補にもならなかったかんべむさしの『黙せし君よ』のほうが、はるかに「文学的」で、しかも面白いと思うのですがねぇ・・・・
Commented by さくら at 2010-03-26 18:41 x
本の下敷きになっている譜面が
なんだか気になります…(^-^)
Commented by kase551 at 2010-03-27 06:06
学生運動関連の名曲です。^^


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